【レビュー】ハリエット
やったーーーーー映画館解禁されたぞーーーーー
ということで、解禁一発目に観に行ったのは
「Harriet」
Harriet | Harriet Tubman Prays for Her Master to Die | Own it now on Digital, 1/28 on Blu-ray & DVD
南部で奴隷として働いていたが、北部へ自力で脱出し、
その後「黒人モーゼ」として多くの黒人奴隷を自由の身へと解放した女性。
彼女はアンドリュー・ジャクソンに代わり、新しいアメリカの20ドル札の肖像画になり、再び注目を集めている。
(ちなみに、ジャクソンはアメリカの第7代大統領で、黒人奴隷を使った大農園を経営していた人物。圧倒的人種差別主義者で、インディアンを大量殺戮に陥れた「インディアン強制移住法」を作り上げるなど、ハリエットとは真逆の存在である。すごい皮肉)
物語は、ハリエットが農場で働いていた時代から、南北戦争さなかに北軍側として黒人部隊を率いて参戦するようすまでを描いている。
主演のシンシア・エリヴォはロンドン、ブロードウェイなどでミュージカル女優としてなおはせる素晴らしい女優。
私自身、来日公演で歌声を聴いたことがあるが、全身に鳥肌が立ち、涙が止まらなかったことを鮮明に覚えている
Cynthia Erivo & Jennifer Hudson - The Color Purple Music Video | THE COLOR PURPLE on Broadway
ため息が出るほど素晴らしい歌声。
「モーゼ」として、「GO down Moses」を歌うシーンは、ただ口ずさむだけでもかなりの迫力がある
Louis Armstrong-Go Down Moses (Lyrics+Download)
モーゼは旧約聖書の「出エジプト記」などに登場する人物。ヘブライ人のエジプトから脱出を率いたとされる。
黒人奴隷たちは、ハリエットの姿をモーゼになぞらえ、「黒人モーゼ」と呼んだのであった。
浅すぎる160㎞の旅
ハリエットは農場からの危険な逃走劇を160㎞かけて行ったのだが、
その描写が
あまりにも
浅い!!!!!!
ものすごく簡単にフィラデルフィアまでたどり着いたかのように感じる。
しかも何回もほかの黒人を連れて帰りに行ってるし……
この物語の核は、彼女が「危険を顧みずに何度も黒人を開放しに行った」ことなのだが、そこには必ず「ものすごい危険が伴った」ことをしっかりと記さないと、
どれだけの偉業だったかがいまいち伝わらない。
今作は、ハリエットのてんかんや睡眠障害をクローズアップして、
実にスピリチュアルな人物として描いているが(神の声が聞こえて~みたいな)
それが事実であったとしても、もっと彼女の努力によって達成されたと表現してほしかった……
でもラストの歌はめちゃくちゃいい
よく、映画を見終わると席を立ってしまう人がいるけれども、
この映画はちゃんとエンドロールまで見てください!!!!!
最後に、Cynthia渾身のテーマソングが待ってますので。
Cynthia Erivo - "Stand Up" - Oscars 2020 Performance
今年のオスカーでのパフォーマンス。かっこよすぎて大号泣でした。
もしCynthiaがまた来日する機会があったら、絶対聴きに行きたいなぁ。
というわけで、Harrietは、がちがちの人種差別映画というより、
Cynthiaの歌を聴きに行く感覚で観に行ったほうがいい(?)